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課税には筋と納得が必要
〜東京都「銀行税」、太宰府市「環境税」を巡る騒動〜

2003.09.12 
社会環境システム部 升本 和彦 

 最近、地方自治体の『税』を巡る論議が盛んである。中でも個人的に目を引いたのは、東京都の銀行税(外形標準課税)と福岡県太宰府市の環境税(歴史と文化の環境税)である。別稿でも触れたが、ここでもこれらについてコメントしたい。

 まず、全国的に物議をかもした銀行税である。課税取り消し等を求めた訴訟で都が1、2審とも敗訴したことを受け、先頃、都側からの和解申し入れが報道された。現在、この和解申し入れに対し銀行側で意見集約を行っているという。銀行側も「1、2審とも勝っているのだから最後まで」という強硬派、「和解による還付金は魅力。短期決着が得策」という和解派、先行きは依然として不透明だ。

 もう一つの「歴史と文化の環境税」は少々説明が必要だろう。これは太宰府天満宮周辺の渋滞緩和や観光施設整備を謳い、市が有料駐車場への駐車に対し課税するものである。課税額は普通車100円、大型車500円などで、法定外普通税として駐車場業者を通じ徴収され、一般財源に繰り入れられる。平たく言えば「駐車場税」なのだが、「古都の環境を守る」という狙いから「歴史と文化の環境税」と銘打ったという。
 この税、2002年3月の条例案可決後、代理徴収する駐車場業者の反対で延期されていたが、最大手の駐車場業者でもある太宰府天満宮が受け入れたことで今年5月、見切り発車的に実施された。しかし7月、太宰府天満宮が再度拒否に転じ、膠着状態に陥いる中、条例の凍結/完全実施という相反する請願が市議会に提出され、9月2日開会の議会で論議されることとなった。

 言うまでもなく、「銀行税」と「歴史と文化の環境税」は税としての性格が全く異なる。「銀行税」が法で定められた法人事業税であり、その課税対象を赤字銀行にまで拡張したものであるのに対し、「歴史と文化の環境税」はそもそも法に定められていない、いわゆる法定外普通税である(ちなみに同じ東京都の「ホテル税」は法定外目的税である)。とは言え、両者は共に「普通税」として地方の財源確保を目指したものであること、そして膠着状態に陥っていることなどの共通点を持っている。

 膠着状態に陥った原因もよく似ている。一つは、公平性等、税としての「筋」である。銀行税はまさに銀行だけを狙い撃ちにした不公平感の高いものであるし、歴史と文化の環境税も、直接便益を受ける市民のための税を外部の観光客-投票権も持たず決定に関与できない-に転嫁するという「筋の悪さ」が指摘されている。余談になるが、「駐車場税がディズニーランドを持つ浦安市で実施されたらおぞましい」という意見がある。大雑把な計算ではあるが、ディズニーランドの駐車場容量は約17,000台、これに500円を課税すると税収は年間31億円余、これは浦安市の市税収入の311億円(H13)の1割にも相当する。

 話がそれたが、膠着状態に陥ったもう一つの原因、それは関係者の納得の不在である。太宰府市当局から代理徴税する駐車場事業者に対し説明等が十分であったとは見えないし、石原知事自らが「ホームスチール」と表現したような強引な導入手続きをとった東京都の銀行税に至っては、、、「はた言うべきにあらず」、か。

 税という手段は社会システムの根幹である。それだけに、アイディアをそのまま実行するのではなく、専門家等による『筋』の検討と、関係主体への十分な説明と議論を通じ、合意・納得感を形成する必要がある。『銀行税』『歴史と文化の環境税』、双方ともこの秋の仕切り直しを機に、皆が納得するような落としどころを見出して欲しいものである。

当コラムの見解は、必ずしも当社の公式見解を代表致しません。

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