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Keywords 049
QOL評価

2003.11.18 
社会システム政策研究部 吉池 由美子 

 QOL(Quality of Life)は「生活の質」などと訳され、様々な意味合いを包含する概念であるが、概ね「人が充実感や満足感を持って日常生活を送ることができること」を意味する。「QOL評価」とは、この個人の日常生活における「充実感」や「満足感」を質問票を用いて調査し、数量的に測ろうとする試みである。

 この概念が医療・福祉分野において重視されるようになった背景には、医療職と患者間のパターナリズム注1)の終焉とインフォームドコンセント注2)の普及に伴う患者の自律性の尊重、慢性疾患の増加による疾病や障害との共存の必要性の高まりなどがあげられる。つまり、治療場面において治癒率や延命率の向上だけでなく、患者の日常生活上の充実感・満足感などが重視されるようになった。例えば高血圧の場合、血圧が下がれば治療面では評価されがちであるが、患者側からみれば「服薬によってうつ気分になり、生活全般に張りがなくなった」と感じているかも知れない。このように患者側からみたQOLを評価し、治療方針を見直す場面などで使われている。

 QOL評価に用いられる代表的な質問票として、SF-36(MOS-Short Form 36)注3)などがあげられる注4)。この質問票では、「激しい運動ができるか」「体の痛みはあるか」「疲れを感じたか」などの36の質問項目に回答すると、QOLが点数化される仕組みである。しかしながら、そもそもQOLは個々人の主観的・個別的な性格が強く、「果たしてQOLはスコア化・数量化できるのか」といった議論は尽きない。このためQOL研究分野では、主観的・個別的なQOLをできるだけ一般化・標準化するための方法論の模索が続いている。

 最近は、医療・福祉分野だけでなく、道路・公園等の整備効果を市民のQOLの観点から測る試みなども行われるようになってきた。今後も幅広い分野において拡大・発展される可能性が高く、数値での評価が困難な分野であるからこそ、今後のチャレンジに期待したい。

 注1) パターナリズム(父親的温情主義);患者の最善の利益の決定の権利と責任は医師側にあり、医師は自己の専門的判断を行なうべきで、患者は医師に委ねればよいという考え方。

 注2) インフォームドコンセント;医師が患者に対して、治療内容の方法、意味、効果、危険性、予後、治療にかかる費用などについて十分に説明をした上で(インフォームド)、患者自らの意志で診断・治療に関する手段の選択に加わる(コンセント)こと。

 注3) SF-36(MOS-Short Form 36);8領域36質問項目からなるQOL質問票。一般的な健康状態を測る多目的短縮版測定方法で、疾患特異的尺度とは異なり、様々な疾患をもつ人や健康な人々に共通する要素で構成される。

 注4) この他、代表的なQOL質問票として、WHOQOL、EuroQol(EQ-5D)、Health Utilities Index(HUI)、SIP(Sickness Impact Profile、NHP(Nottingham Health Profile)などがあげられる。



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