いまこそ、住宅耐震化の呼びかけを
政策科学システム研究部 上田 啓行
 昨今、建築物の構造計算書偽造の問題が世間を騒がせている。このことは、到底、許されることではないが、この問題をきっかけとして、建物の耐震性能や安全性に国民の注目が集まっている。今こそ、建物の耐震化促進のための意識啓発の好機ではないだろうか。

 国土交通省の推計によると、我が国の住宅総数の4分の1にあたる約1,150万戸は、耐震性が不十分といわれている。
 これに対し、国や自治体では、助成制度を設け、耐震診断や改修にかかる費用の補助を行っている。また、住宅金融公庫融資における金利優遇制度や税制面での減税措置なども実施されている。
  かように、住宅の耐震化を促進するための対策は講じられているが、平成15年の住宅・土地統計調査に基づく推計によると、平成10年から15年までの5年間に耐震改修を行った住宅の戸数は約32万戸と推計されており、耐震化の改修が必要な住宅全体の3%に満たない。

 なぜ、住宅の耐震化が進まないのだろうか。これについて、興味深いデータがある。内閣府が平成16年8月に行った「住宅の耐震化に関する特別世論調査」では、「仮に自宅の耐震性が不足していると分かった場合」の対策について意識調査をしており、耐震化の改修を行うといった回答が約25%あったものの、「本棚・家具の転倒防止対策などを行う程度」、または、「特に対策をとるつもりはない」という回答が約50%も占める結果となった。このように、一般国民の耐震化への意識は極めて低いものとなっており、このことが、耐震化が進まない大きな要因と考えられる。

 耐震性不十分な住宅に住んでいる人は、今回、問題となったマンションを購入した人だけではない。先に述べたように、構造計算書の偽造でも何でもなく、耐震性不十分な住宅が1千万戸以上あり、そこに住んでいる人がいることを忘れてはいけない。(2005.12.12)

 
 

 

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